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「社会福祉委員への報酬誤支給問題」に関する事務検査結果報告書

地方自治法第98条第1項の規定による 事務検査に係る結果報告書

(平成30年5月21日~平成30年12月18日)

平成30年12月 小金井市議会 総務企画委員会

1 検査事項 社会福祉委員への報酬誤支給問題

⑴ 平成29年5月に発覚して以降の市の対応をめぐる諸問題について

⑵ 今後の対応と再発防止策について

2 検査事項の概要

平成29年5月16日、小金井市福祉保健部地域福祉課職員によって、社会福祉委員(以下「本件委員等」という。)に係る報酬が特別職の給与に関する条例(昭和31年条例第22号。以下「本件条例」という。)上は月額11,000円だったにもかかわらず、実際は10,000円を支給してきたことが判明した。その齟齬を是正するための小金井市長(以下「市長」という。)による一連の事務手続が法律、条例、規則等に照らし適正だったかどうかについて検査したものである。

3 検査方法

本件については、市議会において「議員案第18号 特別職への報酬誤支給問題に係る監査請求について」が可決された事を受け、監査委員による平成30年5月31日付け「地方自治法第98条第2項の規定に基づく監査請求に伴う監査結果について(通知)」(以下「監査結果」という。)も参考に、平成30年5月21日、同年6月15日、7月30日、9月12日、11月14日、12月12日及び18日の計7回にわたり総務企画委員会において検査を行った。

4 検査結果

 ⑴ 平成29年5月に発覚して以降の市の対応をめぐる諸問題について

ア 地方自治法等に違反する行為

監査結果の指摘のとおり、仮に本件条例の改正の際に当該議案に市長側において誤記があったと推認されるとしても、当該改正の手続きに何らの瑕疵も存在せず、本件委員等の月額報酬は11,000円と規定されており、市長は、これを支給する義務があることは誰の目からも明らかであり、顧問弁護士等の指摘に反しての事務執行を行う理由は見出しにくい。 そうすると、これを支給しないということは、本件条例に抵触することとなり、報酬の額は条例でこれを定めなければならないとする地方自治法第203条の2に反し、職員はその職務を遂行するに当って条例に従わなければならないとする地方公務員法第32条にも反することとなる。 市長は、本件が発覚する以前においても、これらの法令に反する事務執行を行っていたことになるが、発覚以降は、認識しながら、これらの法令に反する事務執行を故意に行ってきたと言わざるを得ず、普通地方公共団体の統轄代表権及び管理執行権限を有する者として、到底、許される行為ではない。

イ 虚偽公文書作成・同行使の罪の疑いについて

市長は本件発覚後も、新たに着任する本件委員等へその報酬月額が10,000円であることを記載した説明文書(平成29年10月2日付け)を作成させ交付した。市長は、本件条例どおりの支給義務があることを認識していたが、調査がまとまるまでの間は月額10,000円の支給とするとしていたとの説明であるが、本来、発覚後においては前述のとおり条例規定どおりの支払い義務が課せられるものである。 この点について、監査結果においては、虚偽公文書作成・同行使罪の構成要件に該当する可能性はあるかもしれないが、犯罪の成否を決定するのは刑事裁判所の専決事項であるとして、その成否の明言を避けている。 本市議会としても、犯罪の成否を決定するのは刑事裁判所の専決事項であるという点については同様の見解ではあるが、虚偽公文書作成・同行使罪の構成要件に該当する可能性があったことは改めて指摘せざるを得ない。 すなわち、本件条例等に反する事務執行を故意に行っていたことは前記アのとおりであるところ、例え本来は月額10,000円であると推認されたとしても、是正策を講じるまで10,000円を支給し続けることが許されるものではなく、また、発覚から9か月が経過しているにもかかわらず是正策を講じていないなど、遅きに失すると言わざるを得ない。結果、市長は、虚偽公文書作成・同行使罪の構成要件に該当する可能性がある行為を職員に強いたことを自覚すべきである。

ウ 文書管理規程に反する行為

市長は、本件の是正策として、本件委員等に対し債権放棄を依頼することとしたが、この一連の事務手続きにおいて起案文書が存在していない。これは、明らかに、事案の処理は文書によるものとする小金井市文書管理規程(平成16年規程第3号)第17条に反するものである。

エ 本件委員等に対し、債権放棄の文書を提出させた責任について

監査結果においては、本件の是正策として、本件委員等に対し債権放棄を依頼することは、依頼方法が適切である限り、選択肢の一部として十分考えられることであるとし、その過程に強制もなく、市長の裁量の範囲内であって違法・不当とは言えないとしている。 しかしながら、本市議会としては、例え結果として違法性がないこととなったとしても、日夜、社会奉仕に取り組む本件委員等に対して自らの報酬を放棄することを依頼する行為などは、市の施策として適当とは言えず、不適切な事務執行であったと言わざるを得ない。加えて、報酬誤支給の事務執行を本件条例に反して継続するものである。

オ 本件発覚後、すぐに監査委員に報告しなかったことについて

監査結果においては、発覚後、直ちに市議会及び監査委員にも報告して、対応策を共に検討すべきであったし、本件委員等に対しては、可及的速やかに、月額11,000円の支払いを開始すべきであったとしており、本市議会としても同様の見解である。 本件発覚後、市長が直ちに報告を行っていれば、前記ア~エの法令違反や疑いが生じることはなかったか、少なくとも迅速な解決が図れていたと言え、報告を怠った市長は、当初の段階から判断を誤っていたと言わざるを得ない。

⑵ 今後の対応と再発防止策について

市長は、一連の不適切な事務執行について反省し、本検査の中で再発防止策をとりまとめている。法令遵守を大前提に、事務執行における確認の徹底、研修等の強化、関係機関等への報告及び事務執行の迅速化などを挙げている。市長が挙げた点は全て必要なことであり具体化することを求めるところであるが、それだけでは十分な再発防止策であるとは言えない。 今般の検査の中で明らかになってきたことは、現在の執行機関の体制においては、市長をはじめとして幹部職員に法的視点が欠如しているのではないかという点である。 まず、本件の是正策として、月額報酬を10,000円とする条例改正を行って遡及適用することを模索した点である。本件条例上、11,000円を支給する義務がある中でこれを減額して遡及適用することは、本件委員等に不利益を生じさせることになるのであるから、このような改正は不利益不遡及の観点から許されるものではなく、執行機関において法令の基本的な在り方の理解が乏しいとの疑念を抱かざるを得ない。 次に、本件条例の改正の際に瑕疵はなく11,000円を支給する義務があることは理解しているが、一方で、これまでの予算措置についても本市議会の議決を経ているし、また、差額分を支払うとした場合の財政負担も考慮しなければならなかったとした点であるが、財政事情によらずして規定される額の支給が義務付けられていることは自明の理である。しかしながら、そもそも本件条例において11,000円の支給義務があることは明らかなのであるから、これと異なる予算措置について本市議会の議決を経ていたとしても、予算提案は市長の専決事項であり、市長においては、それは単に適正な予算措置を怠っていたことにしかならないのである。債権放棄を依頼するという判断をしたことからも明らかなとおり、執行機関においては、あまりにも財政面に片寄った考え方に陥り、法令遵守の観点がおざなりとなっていたと言える。 そして、監査委員による平成30年7月18日付け「小金井市職員措置請求に係る監査結果について(通知)」への対応が曖昧であるという点である。同結果においては、その理由を示して、「市は、平成30年5月10日に本件委員等(退任を含む。)に弁済した未払報酬に係る遅延損害金565,003円のうち、平成27年12月18日以降に発生したものは市長に、同日前に発生したものは前市長に、平成30年第3回市議会定例会閉会日の翌日から起算して60日以内に、各賠償請求するよう、勧告する。」とした。この勧告は、尊重する義務があると解されるが、強制力があるものではないため、市長はこれに従うとしても、従うとした具体的な理由についての説明責任が生じている。しかしながら、市長は、勧告を重く受け止め包括的に判断して勧告に従うこととしたとの趣旨の発言に留まり、自らの賠償と、前市長への賠償請求についての法的根拠及び当該理由についての具体の理由の説明もなく、対応が不明瞭であったと言わざるを得ない。 要するに、これらの点は、本件に係る一連の事務執行において、執行機関に法的視点が欠如していたことの証左であると言える。これらの点の改善、意識改革がなければ、本市の将来が危ぶまれると言わざるを得ない。一般職員の理解も当然のことではあるが、市長自身、そして幹部職員の法的視点の欠如こそが本件における問題点であったと言える。市長による再発防止策の具体化は当然のことながら、市長及び幹部職員の研修こそが現在の本市にとって必須なものであると言え、この点の具体策を明示することを市長に対して要望する。