議案31号「第5次基本構想策定」討論

はじめに

議案31号「長期総合計画基本構想の策定について」に対して概ね賛成の立場から討論を行います。

今後、10年間の市政運営の取組の指針となる最上位計画である第5次小金井市基本構想(案)は、小金井市長期計画審議会の皆様の長きにわたるご協議により作り上げていただき、パブリックコメントなどを踏まえて、ブラッシュアップをされたものです。また今回は「将来像」について中学生の声を取り入れられるなど、担当職員の皆様のご苦労も大きかったと想像いたします。

これまでの議会質疑や特別委員会の質疑などを通し、「SDGs」を意識した構成や細かな点など、市議会公明党の意見も数々取り入れて頂きました。市政運営に必要なものと理解をし、態度を表したいと考えておりますが、一方で、市民が納得いかない対応がありましたので、大きく2点について指摘をさせていただきます。

中期財政計画について

基本構想を着実に推進するための根幹となる「中期財政計画(案)」に対する取り扱いです。言うまでもなく、市財政は市民の皆さんの血税によって成り立っております。一連の質疑を通じ、残念ながら、市長の市財政への認識の甘さを改めて実感することになりました。
小金井市では、今後、100億円を超える庁舎等複合施設建設事業があり、公共施設維持管理には約1,400億円の待ったなしの大事業も控えております。今定例会には我々も要望してきた公共施設マネジメント基金創設の議案も出されましたが、後発でありながら目標金額も示されていないのが現状です。

昨年10月に示された中期財政計画(案)では計画年度の最後にあたる令和7年度末の財政調整基金残高が10億円を下回ることがわかりました。これまで、市は、最低でも20億円は確保した答弁されていたことからも、一方で膨れ上がる庁舎建設の事業費を受けて、市民の声を代弁する議会からの「新型コロナウィルスの影響が続く中、このまま建設事業に踏み切って良いのか」というシンプルな問いに適切な答弁が得られないままに、5カ月が経過し、3月3日の委員会を終え議会は会期延長を決断する大混乱となりました。

16日には西岡市長から「私は、これまで設計等を大幅に見直すことについては否定的でしたが、市議会が可決してきた決議や市民の皆様、市議会からの多様な意見を踏まえて、設計や建設の時期を大胆に見直すことも含め、市議会の皆様と協議を行わせていただくための場を設けさせていただくことをお願い申し上げます。」との発言と、中期財政計画5か所にわたり「※庁舎等複合施設建設事業の事業費は、現時点では未定であり、暫定の事業費です。」と記載する、前代未聞の対応により、一先ず採決に至りました。

市長は中期財政計画について「常に変化しているのでしかたがない」、「毎年見直します」とか「単なる添付資料だ」とまで答弁をされておりますが、施策の効果的・効率的な推進を図るために必須である確固たる中期財政計画の無い、基本構想は現在は信頼性の低い計画と言わざるを得ません。

市議会公明党は、「庁舎の大幅な設計変更」は目的ではなく手段であり、市民生活に影響のない納得のいく財政計画を整える中で、着工時期を含め様々な方策を検討することで、事業推進に向け、速やかに仕切りなおすことが大切であることを改めて述べておきます。無論、その上で新庁舎建設は行政が責任を持って進める事業であり、チェック機関である市議会に丸投げする進め方は言語道断であります。

「しあわせ」について

「しあわせ」を取り除いた基本構想についてです。幾度となく公明党からは復活を要望して参りましたが、最後までご対応はいただけませんでした。それどころか、削除を強く求められて来られた会派は委員会では議案に反対をされており、市長は議会運営にどのような未来を望まれているのか、市長の舵取りは理解ができないとの市民の厳しいお声をいただいております。

小金井市長期計画審議会の皆様による、「答申に当たって」の文章の最後のところには以下のように書かれています。

この計画の大きな目的は第4次の計画と同様、「市民のしあわせの増進」と定め、計画の主体を市民、団体、事業者、そして行政を含めた市に関わる全ての「私たち」としています。新型コロナウイルス感染症への対策はもちろんのこと、少子高齢化による社会保障ニーズの高まり、生活様式などの多様化やデジタル化への対応、公共施設老朽化対策など、様々な行政分野での課題が顕在化してきている中では、行政だけでなく全ての「私たち」が主体的に取り組む必要があること、また、その取組が目指すものは「市民のしあわせの増進」であるということは新しい計画になっても変わるものではないと考えております。市民のしあわせの増進のためには、多岐にわたる行政分野における施策を効果的効率的に進める必要があります。

小金井市長期計画審議会「答申に当たって」

市長は、「市民参加」を掲げながら、自らが諮問した審議会の皆様の、答申の「市民のしあわせ」という魂を込められた部分を排除し提案をされました。このことは、非常に残念であり、多くの市民の皆さんと10年後まで抱えていかなければなりません。

対話の姿勢について

「対話」とは、「お互いの立場や意見の違いを理解し、そのずれをすりあわせることを目的に行うもの」です。市長の対話は、閉じられない風呂敷を次々と敷き詰めているだけのパフォーマンスであり、問題先送りの市政運営であると言われております。

新年度の市政運営にあたり、12万市民の長として、その姿勢を改めていただきたいと、切に要望し、討論といたします。