もくじ
災害時のトイレ問題について
9月1日は関東大震災から100年の節目となる防災の日です。小金井市においても「市報こがねい 」(9/1号)一面で防災特集が組まれている。見出しには「避難とは難を避けること。災害に備えましょう!安全な場所にいる人まで避難所にいる必要はありません。」と書かれている。
令和4年5月25日東京路防災会議が公表した「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」から抜粋された内容によると、死者49名、負傷者662人、避難者21,091人となっている。
さらに、発災後に生活環境の悪化やストレスが原因で亡くなる災害関連死への対策も防災という意味で重要とされている。
災害関連死とは、災害による直接の被害ではなく、避難途中や避難後に死亡した者の死因について、災害との因果関係が認められるものです。
対策として避難所の「TKB」(トイレ・キッチン・ベッド)の改善が必要とされており、中でも大きな要因の一つとされているのが、自宅を含む避難生活での「トイレ問題」です。
マンホールトイレを含む仮設トイレなどでは、特に高齢者や女性にとって使いにくい上に危険な場所であり、トイレに行く回数を減らすため、水分や食料の摂取を減らし、エコノミークラス症候群を発症する。中越地震や中越沖地震、東日本大震災、熊本地震などいずれの災害においても、災害後のエコノミークラス症候群の発症は女性に偏っていると言われています。
(災害廃棄物情報プラットフォーム)
避難所でのトイレ環境について現状と課題について
避難所に定められている各学校のトイレ整備の状況について確認する。
マンホールトイレの整備状況 について確認する。
市内小中学校14校のうち10校で整備済み。今年度も2校 (本町小学校、第二中学校) で工事。残りの2校(前原小学校、緑小学校)来年度予定している。
梶野公園・小金井公園・多磨霊園にも整備されております。
小金井市防災計画には「避難者75人当たり1基の災害用トイレの確保に努める」となっておりますが、トイレの充足状況について確認する。
多摩東部直下地震の被害想定においては避難者総数が最大で21,091人、うち避難所への避難割合はその3分の2と想定されているので、(避難所には)計算上187基のトイレが必要となる。
学校のマンホールトイレが全て完成した時、1校あたり10基のため140基。組み立て式トイレを50基 備蓄しているため、計190基となるため充足している。
その他、個室内に置く簡易トイレを220個(段ボール)、携帯用トイレを合わせて 32,900個 備蓄している。因みに食料については避難想定人数の3日分は備蓄されている。
避難所の国際基準である「スフィア基準」では、
トイレは「20人に1つの割合で設置」「男性と女性の割合は1対3」とすべきとされている。
直接水害や震災の被害を受けていなくても、停電地域においては断水してトイレの水が流れないなど、大規模災害においては、下水道が破断などしてトイレが長期間使用できなくなることがある。廃棄物処理法においても災害廃棄物処理計画の中でし尿処理について定めるよう決めれており、小金井市でも地域防災計画と災害廃棄物処理計画の両方に記されているが、し尿処理対策について確認する。
- 清掃業者3社と、災害時における収集及び運搬の協力に関する協定を結んでいる。
- 東京都下水道局と水再生センターへの搬入及び受け入れに関する覚書を締結している。
- 課題として、し尿収集車の確保など、し尿の収集及び運搬が困難な状況が予想されることから、事前に関係機関と調整のうえ、し尿の収集・処理計画を策定することが必要になる。
災害発生時、避難所や自宅での生活が困難な高齢者、障がい者、妊産婦等の特別な配慮を必要とする方(要配慮者)を対象に福祉避難所(二次避難所)が開設されますが、全ての方が入れるものではないため、そういったことも想定して避難所のトイレ整備に関するゾーニングやマニュアルが必要である。
- 災害発生時においては、各避難所に避難所開設キットを配備し、避難所開設キットにある開設手順に従って避難所を開設していくこととしている。
- 要配慮者への配慮などについては、各学校の施設の状況各学校の施設の状況に応じて、施設内の各スペースを用途別にあらかじめゾーニングなどを行っている。
- マンホールトイレについては、各学校に設置される10基のうち1基が車いす対応となっている。(他のトイレよりも個室が広く、手すり付きとなっている)
- 学校の誰でもトイレと携帯トイレを組み合わせて活用することもできると考えておりております。
避難所トイレの運用について、「設置体制・維持管理方法等に関するマニュアル」を作成することとなっているが、進捗は。
- 避難所のトイレをどのように運営していくかは、運営主体としては避難所運営協議会など、避難所を運営する地域の方々と学校や市の職員が共同してあたることになる。
- 発災直後は施設内のトイレの便器にかぶせるタイプの携帯トイレや、段ボールを組み立てる簡易トイレを使用し、準備が整った段階でマンホールトイレや、工事現場で見られるような組み立て型トイレを利用する。
- 準備や管理を具体的に誰がどうするというところは、被災状、被災状況によるところもあり、なかなか定めることが難しいところだが、実際に運用していくなかで、避難者の方々ができる限り快適で利用し実際に運用しやすいよう整えていく必要があると考える。
現在、避難所運営協議会は6校(小学校5校、中学校1校)で立ち上がっている。取り組みや、議論のつまり具合は様々である。
設置訓練や利用訓練の必要性についても地域防災計画にうたわれているが、実施状況について確認する。
- 総合防災訓練だけでなく、自主防災組織などの地域の団体や学校用務員などの要請に応じて、下水道課や地域安全課の職員が説明に伺っている。
- 災害時用トイレを実際に利用する訓練については、衛生上の衛生上の関係もあり、詳しく説明するなど、実際の利用に困らないよう今後工夫したい。
自宅避難時のトイレ問題への対策の周知について
「市報こがねい (9/1号) 」にも「安全な場所にいる人まで避難所にいる必要はありません。」と書かれている。「在宅避難」の在り方についての説明を求める。
避難の在り方については、避難とは「難」を避けることであり、安全な場所にいる人まで避難所に行く必要はなく、住み慣れた自宅や親戚や知人宅などに避難をするいわゆる 「在宅避難」 というものも、 近年、適切な避難行動として大変重要である。 本市域においては、地理的条件(広域流域河川や山間地域でない)や住宅環境性能(耐震性の高い住宅)を考慮すると、在宅避難は有効なものであると認識している。
避難者総数が21,091人のうちその3分の1(約7,000人)と想定しているが、断水や停電や配管の破損によってトイレだけは通常通り使えないという事も十分にありえるので、自宅でのトイレの備蓄などについての認識を高めておくことが重要である。
直近の市報でも、携帯用トイレを備蓄していただくよう周知をしているが、まだ十分ではないと認識している。 今後、 効果的な方法等について研究したい。
実際にご家族で、何をどの程度備蓄しなければならないのか確認するには、東京都の「東京備蓄ナビ」を使って、家族構成を入力すると簡単に計算をしてくれます。https://www.bichiku.metro.tokyo.lg.jp/tool/
簡易トイレの使用済みの袋は、抗菌性凝固剤を振りかけ固め、排便袋をしっかりと結び、可燃ごみとして処分することができます。
更に、イベントなどで簡易トイレを配布するなど、市民への周知を徹底すできである。
現在、 防災マップや市ホームページにおいても日頃の準備として、簡易トイレなどの備蓄について記載しいるが、様々な方法で、工夫を凝らしながら周知を行っていく必要があると考える。避難生活をしていく場合において、トイレは大変重要な要素でありますので、今後とも、機会を捉えて住民の方へ周知を図っていく。
進化したトレーラー型移動式トイレを常設しないか
本年6月に開催された「自治体・公共 Week 2023」では、水が要らない移動可能なトレーラー型防災水洗トイレについて展示がされておりました。最新のものでは優れた浄化処理を備えており、微生物でし尿を分解し処理水を生成するため、最小限の水を循環して使う事が可能となっています。(上下水道接続不要)また太陽光パネルなども備えている。
普段は公園やグラウンドなどに設置し、通常の公衆トイレとして使用し、災害発生時には病院や避難所などへ移動することで上下水道接続不要で、かつ独立電源で機能を維持するトイレシステムとして使用可能です。市民にとっても大変に有用なものでフェーズフリーの考え方を用いることで費用対効果も高いと考えますが、市のご見解を伺う。
防災の立場からは非常に有用なトイレであると考える。平常時の設置場所や災害時の移動方法など課題点が多々あり研究を要するところですが、 今後更なるトイレの充足を考えていくうえで、様々な製品がある中での選択肢の一つとなると考えている。
単身高齢者の住居問題について
健康面や孤独死などへの懸念などからも、いわゆる住宅確保要配慮者である単身高齢者の居住支援は大きな課題であり、議会で再三取り上げられて来ましたが、中々決定打が有る訳でもなく、今後もさらにその対応は急務であると言えます。
またその対策は、連帯保証人や緊急時の連絡先の確保、訪問などによる見守り支援などといったソフト面での対応・住宅確保要配慮者の入居を拒まない低家賃の住宅の確保などといったハード面での対応といったソフト面とハード面での連携した対応が必要とされています。
IoT技術を活用した最新の見守り制度を導入しないか
IoT(Internet of Things)機器を利用した見守りについては新しい話では無く、家電を活用したわかりやすいものでは、テレビや冷蔵庫、ポット、電球といった身近な家電の使用状況を離れたご家族に通知するものなどがあり、市議会でも様々取り上げられてきた。市の現状の認識を問う。
現在、高齢者等の見守られる側のプライバシーに配慮した、いわゆる「緩やかな見守り」に、このIoT技術を活用した様々な民間サービスが誕生しており、注目している事業の一つである。
日野市では、民間賃貸住宅の一人暮らし高齢者等を対象に、見守り通信機能を持った電球を利用したサービスの助成事業(上限2万円)を実施。緊急時は親族の依頼に応じ、宅配業者がかけつけるサービスも利用できる。小平市、稲城市、都内では文京区なども同じサービスを選択できるようにしている。通常のIoTサービスだと、異変を感じても実際に駆け付けるまでには時間がかかり、駆けつけるのが誰でも良いわけではない。日頃から地域で顔が見える事業者が駆け付けるというのは、非常に安心感もあり、効果としては非常に高いものであると考える。
本市でも、宅配業者等日頃顔が見える事業者が駆けつけるサービスが付帯した見守りサービスなども検討しては如何か。
プライバシーに配慮しながらもご家族等が見守ることができる、新しい事業ということもあり、数年前に実施事業者から、事業概要等のパンフレットを取り寄せた経過がある。
現在、26市中6市が、高齢者等の状況に応じ、様々な民間サービスを選択できる助成事業等を実施されている状況もあるため、まずは、先進市の事例を参考に引き続き検討したい。
今後のIoT機器を利用した見守り事業の導入に向けた市の考えを問う。
昨年度実施しました「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」においても要望が高かった。
直近の令和2年の国勢調査では、本市の高齢単身世帯数は、6,111世帯となっており、市内高齢者のうち、独居高齢者の割合が、前回調査より0.35ポイント増の23.39%(6,111人/26,132人)となった。
見守りの事業の在り方につきましても、一定の検討を図る時期がきていると考える。
現在協議している、「第9期小金井市介護保険・高齢者保健福祉総合事業計画」においても、ICTを活用した見守り事業の検討について記載する方向で、調整している。事業の継続性を勘案した財源確保等も考慮の上、検討を進めていく。
「おたすけあんしんパック」(社協)の周知と活用について
ホスピスに入所していた単身高齢者から、亡くなった後の部屋の片付け等を誰にお願いしたらよいか、という相談をお受けしたことがありました。このようなお悩みを持たれている方も少なくありません。また、物件を貸し出す側にとっても大きな課題のひとつでもあります。
小金井市社会福祉協議会において、今年度から、死後の事務整理保険制度加入事業として、「おたすけあんしんパック」という事業が開始されるということが、居住支援協議会で話題となったと伺った。一つの方策として大変に有効であると考えるが、内容を確認させていただく。
- 小金井市社会福祉協議会の独自事業
- 市内在住で89歳以下
- 認知症でないこと
- 賃貸物件を探している中で、保証人等が見つからず、入居に苦慮されている
- 自分が亡くなった後のことが心配な方を対象として、葬儀や住宅退去時の残置物の片付け等が必要と思われるかた
- 利用者から、保険加入事業にかかる諸手続きを経て、利用料をお預かりし、社会福祉協議会が保険者となり、提携する代理店を通じて保険加入を行い、利用者の死亡後にその保険金をもって、死後事務の整理を行う。
「おたすけあんしんパック」の周知と活用の状況は。
現在はまだ実施されておらず、本年9月開催予定の社協理事会で承認された後、実施される予定と伺っており、実施にあたっては、社協のホームページに掲載する等周知していく予定とのこと。市としては、まずは本事業の今後の経過を注視して参りたい。
双方にとって有効な事業であると考える。これに代わる方策が無いのであれば、是非、市としても周知にご協力いただき、支え成長させていただきたい。また、今回ご紹介した内容に限らず、先進自治体の動向なども注視し、更なる取り組みをお願いする。
生理現象である排泄を我慢することはできませんので、災害の発生時において、トイレは非常に重要な問題となると考えている。
最優先課題として当該箇所の洋便器化を実施、令和3年度には全校の整備を完了。
4校(四小、前原小、本町小、緑小)有る。最も体育館の近くにあるトイレの整備を進めており、今年度末には四小以外のトイレで洋便器化を完了する。四小は次年度以降、整備を進めて参りたい。