令和二年第4回小金井市議会定例会 一般質問

なぜトイレの洋式化が必要なのか

小中学校のトイレの洋式化については、議会で何度も取り上げてこられた重要課題である。

この度、文部科学省が発表した、「公立学校施設のトイレの状況について(令和2年9月1日現在)」において、小金井市が東京都内で「学校トイレの洋式化率」最下位であったことが、様々マスメディアで取り上げられ、私のもとにも改めて多くの声が寄せられてる。原点に立ち返り「なぜトイレの洋式化が必要なのか」を確認し、改めて早急な対応を求めていきたい。

小金井市は38.4%(多摩26市平均 63.1/東京都平均 71.1%/全国平均 57.0%)

⑴  子どもたちの健康を損なう和式トイレ

そもそもなぜトイレの洋式を急がなければならないのか、共通認識を持つことが大事。

さいたま市立病院の中野小児外科部長は、「小学生から始まる便秘の子が増えている。便秘が長引いて悪化すると、便がたまりすぎて胃を圧迫したり、固く固まって腸閉塞に近くなったりすることもあり、その一因は、学校でのトイレを我慢することにある」と言われています。「日本小児栄養消火器肝臓学会の医師へのアンケート」によると子どもたちが学校でトイレに行くことを我慢することは、94%が健康に悪影響を及ぼす、残りの6%がたまにあると回答。

また、学校の授業や部活動では健康上の課題から、いつからか「うさぎ跳び」を行わなくなっていますが、和式でのトイレはそれと同じような負荷が膝にかかるということなど、和式トイレには、子どもたちの健康を損なう様々な要因があると考えるが、市の見解を問う。

学校教育部長

早急な環境改善が求められる。トイレを我慢してしまうこともあると聞いている。子どもの健康を守る上で、和式便器から洋式便器への更新は、大切なことと認識している。

⑵ 感染リスクを抑える洋式トイレ

コロナ時代に於いて、ウィルス感染への対応が大きく見直されているが、公共施設での和式トイレと洋式トイレの菌数の比較したTOTO総合研究所のデータによると、学校の洋式便座の菌数は10以下(CFU/㎠)に対して、学校の和式床(湿式)が83,000(CFU/㎠※)と比べ物にならない。当然、床に付いた菌は、上履きについて、広げられていき、こちらは臭いのもとになることは言うまでもない。臭いの原因となり、感染リスクの高い和式トイレを、洋式トイレに交換することは大きな意味を持つと言える。市の見解を問う。

※増殖可能な微生物細胞の数を示す単位(CFU: Colony Forming Unit)

学校教育部長

湿式の床は雑菌繁殖の温床となることは否めない為、これまでトイレ整備を行うときは床のドライ化を含めた洋便器化を進めてきた。和式トイレの方が雑菌が多いことは認識している。

⑶ 災害時のトイレとしてはカウントされない和式トイレ。

私が洋式化を進める理由として、もう一つの重要だと感じている点は、避難所となる小中学校での災害対応としての視点です。

2016年に発生した熊本地震で、「避難所で不便に感じた点は?」との問いに対する回答は、食事や冷暖房を抑え、トイレ問題が第1位。その理由の1位は和式トイレ洋式トイレを求めて行列ができる(今では三蜜の原因ともなります。)並ぶのが嫌だから、水分を極端に控え、健康障害を引き起こすなど問題が発生していました。災害関連死は、直接死の約3倍で、トイレ問題は関連死を引き起こす原因の一つであることは言うまでもない。

小金井市の体育館・武道場の洋式トイレは9個。とは言え14校ある小中学校の内の4校に限り設置されており、その他の10校の体育館は和式トイレのみである

日本整形外科学会によると日本人の40歳以上の3人に1人が膝関節疾患を患っており、和式トイレの使用は困難という事がわかる。高齢化はもちろんの事、特に、避難所生活を強いられることの多い高齢者の利用を想定した場合、洋式化を進める必要がある。ここで重要な事は、内閣府が公表する「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、和式便所はトイレにカウントされないということです。またガイドラインで示されている目標数は、最大想定避難者数÷50(男女比は1:3)なので、約400個の洋式トイレを確保することが目標となる。小金井市の避難所対策としての洋式トイレの整備について、どのような危機感を持っているのか、防災を所管する部署の見解も合わせて問う。

※小金井市では、多摩直下地震M7.3で避難所生活者数 約2万人と試算している。

総務部長

高齢者や障がいのある方にとって和式は大変に困難。重要な課題と認識している。

※和式トイレで使う簡易トイレは220個用意している。

学校教育部長

防災上の観点も含めて地域安全課とも連携を図りながら検討する。

避難所の観点で付け加えると、特に高齢者が使われる様式トイレの場合、「便座は暖かい方が良い」などの声も多い。1万円もしないで後付け式の物もあるため、今後ご検討いただきたい。

総務部長

検討したい。

⑷ トイレの洋式化が進まない理由は。

トイレの洋式化は少しずつでも進めて頂いていることは承知している。また、今年度は尿石除去も全校実施いただき、一定、臭い問題に効果が有ったと聞いており、感謝を申し上げる。では、なぜ小金井市では洋式化が進まないのか。市の見解を問う。

学校教育部長

「学校施設の長寿命化」「大規模修繕」の方向性が定まらなかったことも要因の一つ。またドライ化を前提とした質的改善を前提に進めてきたことも遅れの要因。本年度からは、便器のみの更新も始めた。

⑸ 東京都平均を目指し、代替え案を含めた年次計画を示すべき。

以前2017年に宮下誠議員が、トイレの洋式化について取り上げた際のデータは、小金井市の洋式化率が32.1%(当時、多摩26市でワースト3 ※多摩26市平均は49.9%)だった。

東京都は、国と都の補助金を活用し、2020年度までに洋式化率80%目標としている。公共施設の老朽化問題は、小金井市に限った話ではではなく、「学校施設の長寿命化計画」は各市取り組んでいる。そのような状況下で、各自治体それぞれ取り組みを精力的に進めており、遅れをとっていた、小金井市が、この間、さらに水をあけられた結果となった

令和2年度予算特別委員会(2020年3月)では、「令和6年くらいまでに50%を目指す」という答弁であったが、さらにシフトチェンジをして、スピード感を持って取り組み、東京都平均を目指した年次計画を示すべきではないか

学校教育部長

更なるスピードアップを図り、当面、東京平均を目指し計画を定めなくてはならない。関係部署と調整をしながら進める。

ある程度まとまった工事を行った方が、コストパフォーマンスも良いと言える。

また、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、税収が今後、毎年11億円減収するという見通しを自ら議会に提出をしておきながら、市民が一年に一度行くか行かないかの庁舎を、総事業費で100億円を超える新庁舎建設を、改めて何も検討せずに見直さないと言って止まない状況下で、約8千人の児童生徒が毎日使う、学校のトイレ整備が不十分という事は、見過ごせない。

市長

早期に東京都平均(71.1%)を目指す。目標をスピードアップする。適切な時期に計画を定められるよう努力したい。

📺質疑の様子は動画(YouTube)でご覧いただけます。(0h46m57s から再生

コロナ禍での「買い物困難者」対策について

買い物困難地域に加え、コロナ禍で外出を控え、人の多いお店や商店街での買い物が困難な高齢者が増えている。
生活の基盤を支える食材や日用品の購入方法を検討する必要がある。

⑴ 実態の把握はできているか

準備中。(福祉保健部長)準備中。

⑵ 地元の農産物や小売店を利用した「買い物代行」サービスを、
アルバイトが減って生活に困窮している学生や、シルバー人材センターの力を借りて、提供しないか

準備中。 (市民部長)準備中。

📺質疑の様子は動画(YouTube)でご覧いただけます。(0h46m57s から再生

「フェーズフリー」を採用し、安心して豊かに暮らせる自治体にしないか 【日曜議会】

防災意識を高める事にもつながる、「日常時」と「非常時」というフェーズをなくす「フェーズフリー」の概念を取り入れた災害への備えが求められる。

⑴ 市役所は「フェーズフリー」の観点を取り入れないか

防災意識を高めることにもつながる、日常時と非常時というこのフェーズの壁をなくすフェーズフリーの概念を取り入れた災害への備えが、今、求められていると思います。

部長

優れた考え方であると思う。 現状、市でも、災害用のテントや無線機などを、平常時に開催される各種イベントで使用したり、また、災害時の電源としても利用できる電気自動車を導入したりしていることなどは、必ずしもフェーズフリーという単語を意識していたものではございませんが、そういう考え方に沿うようなものと考えるところです。

液体ミルクの保管について、なかなか進まないような状況もございます。十分な量を保持するためには、例えば、使用期限が短くなったものを一般に販売をする、今、乾パンなどは、防災のイベントなどでお配りしておりますが、比較的高価なものであるということであれば、割安でお分けするということもあろうかと思います。

部長

他市において、なかなか進んでいないと分析をしているところでございますが、それぞれの実情を踏まえながら、引き続き、他市等の状況も注視させていただきながら、連携協定について、関係機関を模索すべく、検討してまいりたいと考えております。

⑵ 新庁舎及び(仮称)新福祉会館は「フェーズフリー」で検討を

新庁舎内にもカフェを検討しておりますが、南池袋公園にあるカフェは、災害時は炊き出しを行うように設計されているとのことです。現在、新庁舎建設が実施設計の段階でありますが、防災の拠点ともなり、今後50年以上利用する本市の中心となる公共施設です。フェーズフリーの観点をしっかり意識したものにしていく必要と考える。

部長

発災時においても庁舎のトイレを使用できるよう、地下に雨水貯留施設や緊急汚水槽を設けたり、停電時においても平常時に近い形で災害対応に当たれるよう、非常用発電機を設置したり、通常は会議室として使用している場所を、災害時には、広く災害対策のスペースとして使える部屋にするなど、ハード面に関することでは、広い意味ではフェーズフリーと言えるものが多く備わっていると考えている。そのほか、細かな備品等につきましては、まだ工夫の余地もあるところですので、今後、そのような視点も含め、考えていく必要があると認識している。

⑶ 「フェーズフリー」の考え方を市民に浸透させないか

普段から少しでも、食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しいものを買い足していくというローリングストックや、火などを使わないエコ料理レシピを積極的に発信するなど、多分、普段使っている食器、文具、ファッション、コスメ、また、電気自動車の購入を進めるなど、また、住宅の建て方など、様々な工夫があると思います。
 また、あっせん商品にあるソーラー充電器、ポータブル対応即充電器、こういったものも、普段使いしていただくということも推進をしていくことが大事ではないでしょうか。市民にフェーズフリーの考えを浸透させていくということについて、お考えを伺います。

部長

災害に対して完璧に備えるということはできなくても、負担にならない範囲、意識しない範囲で、ほんの少しずつでも、災害対策となるものを使っていただくのは、市民一人一人の防災力の底上げにつながると感じております。
 特に、自助に関して、備蓄食料のローリングストックが最もフェーズフリーに近い行動と考えられるところです。現在、ローリングストックについては、防災マップや市報での広報等を行っているところですが、今後も、非常食となる食料を少し多めに置いておくという考え方を引き続き広めていくとともに、ほかにもよい備えとなるものがあれば、お勧めしてまいりたい。

📺質疑の様子は動画(YouTube)でご覧いただけます。(0h15m00s から再生)