将来に向けた都市農業の活性化について
小金井市の都市農業が将来にわたり持続的発展をするためには、農業を担う援農ボランティアの確保及び青年経営者の育成(5つの課題の1つ目として「後継者への支援」「担い手の減少への対応」が掲げられている)についても、市は更に積極的に取り組む必要がある。
令和2年現在の基幹的農業従事者*は、141人です。そのうち65歳以上の従業者が約55%を占めています。一方の若手の基幹的農業従事者も増加傾向にあります。
日野市の「農の学校」や国分寺市の「市民農業大学」等を参考に、援農希望者や受入農家が増える取り組みを行わないか
本市における援農ボランティアの取り組みの現状、その課題について伺う。
本市の援農ボランティアの取り組みについては、
①東京都農林水産振興財団が実施している「地域援農ボランティアの養成事業(東京の青空塾)」を活用した取り組みがある。
毎年、市報で援農ボランティアを募集するとともに、援農ボランティアを受け入れたい農業者の募集も並行して行い、講義を中心とした研修を東京都農林水産振興財団において3回程度。実習作業は、市内農業者の農地において10回程度実施する。実習作業を行う農地は、援農ボランティアを受け入れたいと希望された農業者において実施、実習作業を行いながら農業者とのマッチングも行えるといった内容となっている。すべての研修が修了すると東京都農林水産振興財団から「援農ボランティア認定証」が交付され、実習作業を行った農業者に援農ボランティアとして受け入れてもらう。
②令和4年3月に開園しました「わくわく都民農園小金井」においてもシニア農園利用者が習得した栽培技術等を活かし、援農ボランティアとして市内農業者をお手伝いする取り組みがある。
「わくわく都民農園小金井」を運営する観光まちおこし協会において、シニア農園利用者に対して、援農ボランティアを希望する方をとりまとめ、その情報を、援農ボランティアを希望する農業者の方と共有する。情報共有後は、農業者の方と直接連絡を取り合い、農作業のお手伝いを行う。
課題は、援農ボランティアを受け入れたいと希望する農業者がまだ少ないといったことや援農ボランティアを受け入れる農業者とのマッチングが挙げられる。課題解決に向け、機会をとらえ、農業者の方に再度、援農ボランティアの事業の説明を行うことや農業経営を主で行っていない若い世代の農業者などにも事業の説明を行いたい。
本市も一緒に仕組みづくりに参加し、一部の農業者のみならず、本市の農業者の経営の一助を担うような事業となるよう検討していく。
日野市で行われている「農の学校」では、講座修了後は、NPO法人日野人・援農の会に所属し、援農ボランティアとして市内農家で活躍いただいている。
国分寺の「市民農業大学」は、市民に「農業・農業者・農場への関心と理解を深めてもらう」ことを設置の理念として平成4年に開校された。(約70名のボランティアが市内で活躍。20軒の受入れ農家が登録。)
どちらも特徴としては、座学を市内でしっかり行っている点と、まさにマッチングについて丁寧な対応がされている点があげられる。また広報についても小金井では市報の記事のみですが、市のホームページでしっかりと年間の計画などが書かれていて、日野市は更にこれらの事業を所管する都市農業振興課という部署があって、X(旧ツイッター)を使った、活動報告なども細かく発信されている。本市も参考としてはどうか。
日野市や国分寺市の取り組みについては、先進的な取り組みであると認識している。参考とし、本市のこれからの援農ボランティア事業に活かしたい。
市が更に主体となって援農ボランティアの事業を進めるべき。
これからどのように進めていくかは、検討していく必要があると考える。農地の貸借制度も進んでおり、若い世代の農業者の方が、農業経営を拡大するために農地を借り、経営を拡大するために人手が必要となれば、援農ボランティアもこれまで以上に必要となってくると考える。そのようなことも踏まえ、今後の援農ボランティア事業について、農業者、若い世代の農業者、JA、「わくわく都民農園小金井」を運営する観光まちおこし協会の意見も聞きながら進めてまいりたい。
都市農地貸借円滑化法(2018年9月)相続税の納税猶予を受けたまま生産緑地を第三者に貸し出せるようになった。
「貸借」は小金井市の都市農業を存続していくための大事なキーワードだ。
もちろん相続税を見直さないと根本的な課題解決にはならないが、国が買い上げ、国から貸借するという方法もあって良いと考える。例えば、市やJAに主体となって、耕作放棄地を借りていただいて、そこで座学を受けた援農ボランティアさんに活動頂くとか、若手農業者に貸借やボランティアの受け入れを学んでいただく場とするという方法もあると思う。
学校などで食育を通じ、青年経営者が現場で積極的に交流できる取組について
食育等で学校での農家の方とどのように連携をとっているか。
小学校3年生社会科の「農家で働く人々の仕事」の学習の中で、市で作成している副読本を活用し、小金井市の農業について学んでいる。その際には、実際に畑を訪問して作業の様子などを見学させていただいたり、食育につながることを学ぶ機会にもなっている。子供たちにとって、実際に野菜等を作っている現場を見ることや育てている方の話を直接聞くことは、農家の方の仕事に対する熱意や工夫を知る機会となり、貴重な学びとなっている。
小金井市には花や植木も含め様々な農作物を育てている方がおり、そのような方に幅広くお話を聞く機会をもつことができれば、子供たちにとっても学びがより一層深まると考える。
毎年のように、子供たちの学習に協力していただいている農家の方々には、大変感謝しております。実際に農業に携わっている方のお話を聞くことは、子供たちの学びにとって、大変有意義なものであり、今後、農家の方との連携が広がっていけば、一層学びが深まっていくことが期待できると考える。
学校の取り組みにおいて、市の協力も必要となると思うがどうか。
収穫体験や出前講座等の取り組みにおいて、農業者を紹介する等、学校と連携を図っている。幅広く農業に触れてもらうことは、都市の農業の魅力や理解につながる良い機会と考える。野菜生産を行う農業者に限らず、花生産や植木生産を行う農業者との交流、また農業に従事する様々な世代との交流の場を設けられるよう、学校の取り組みに対し、積極的に連携を図りたいと考える。
学校給食への地場野菜の活用も重要です。
その課題として挙げられているのが、休校などによって注文数が変わってしまうことによる懸念や、大量に時間内の給食をつくるために効率よく下処理を行う機械に適合する物しか受け入れられないなどの懸念があります。そのような課題についても、学校給食市内産農産物利用促進事業補助金は勿論ありがたいですが、例えば市で加工場を作って規格外品を援農ボランティアの方に皮をむくなど下処理を行っていただくとか、一次加工して缶詰にして用意をしておくなどということもできると思います。障がいを持つ方も働けたら農福連携にもなりますし、もちろん保護者の方にお手伝いいただけたら、それも食べた子供たちはどれだけ嬉しいことか、食育につながる良い取り組みにもなるのではないでしょうか。見解を伺う。
今後の研究課題としたい。
将来に希望が持てるよう小金井産農産物を積極的に宣伝しないか
小金井産農産物をPRする取り組みの現状は
- 農業祭は、今年度から産業祭りとしてより賑わいを増やすようなイベントとして開催された。市内市外の方に小金井産農産物を宣伝する良い機会となった。
- 長年続いている学童収穫体験での芋ほりや道草市での農産物の販売、JAが行う感謝祭等、様々なPRの場がある。
- 近年では、若い世代の農業者の方が自ら行うイベントにおいて小金井産農産物を宣伝する機会もある。若い世代の農業者の方が、貸借した農地を活用し、種まきから収穫、そしてその農産物を使用したピザをつくるイベントや、学校給食用として出荷されるジャガイモの収穫体験を行うイベントもある。子供たちも参加できるイベントとなるので将来に向け、都市農業の魅力や理解につながる、地元の農産物を知ってもらう良い機会となっている。
- 「わくわく都民農園小金井」においても、栽培ワークショップや感謝祭を開催するなど、市内産の農産物に興味をもっていただくような取組を行っている。
- 将来に向けては、若い世代の農業者の方の意見等を聞いていくことが重要であると考えます。どのようにPRをしていくことが良いのか、関係する方々を交えて検討して参りたい。
まさに将来像「魅力 豊かさ 笑顔 溢れる都市農業のまち 小金井」を目指しスパイラルアップしている施策の実現過程そのものを発信していくことが重要だと考える。また、多くのイベントにご参加いただいた市民の方々が、食育や広い意味での援農に関心をもっていただき、ほんの少しずつでも主体的に参加をいただけることで、それ自体が小金井の農の魅力であって宣伝効果としても絶大であり、農業経営者の皆さんが将来に希望が持てる営みとなっていくのではないかと考える。
江戸東京野菜についても、現在JA東京中央会の方では一層力を入れており、支援も得られるそうですので、是非そういった波にも乗っていただきたいと要望する。
スマート窓口の推進について
ライフイベント時の市役所の手続きの手間を、窓口DXにより減らす「スマート窓口」に取組む自治体が増えている。
小金井市の取組について確認する
「待たない・書かない・行かない窓口」については、市民の方がこれまで市役所に来庁して行ってきた手続きのうち、転入転出手続とそれに連動して他の部署でも複数の手続が必要となる場合や、住民票や課税証明書などの証明書の交付について、市民の利便性向上のため、必要に応じてデジタル技術も活用しながら、市民が、待たない・書かない・行かないで、手続きができる取組と認識している。この取組は、北見市や深谷市の取組をはじめ、都内自治体でも少しずつ、取組が広まっているが、小金井市での取組状況について伺う。
具体的な取組状況としては、
①転入・転出等の住民異動
本年2月6日より、国の制度として、引っ越しワンストップサービスを開始している。
利用者がマイナンバーカードによりマイナポータルで個人認証をした上で、オンラインで転出の届出と転入及び転居の予約ができるもので、転入、転居の予約後、来庁された際は、事前予約いただいている点を鑑み、市民課では優先受付対応をしている。また、関係課においても、必要書類の事前準備等の必要な対応を実施している。引っ越しワンストップサービスの導入により、転出手続においては、転出元の自治体に来庁せずオンラインで終えられること、転入手続における待ち時間の縮減等、サービス向上に向けた一定のメリットがある。
②「おくやみ手続窓口」を開設します。
第二庁舎1階の旧マイナポイント申込支援窓口にて、ウォークラリー方式により実施する。(令和6年1月22日より)
時間縮減に関しましては、手法にもよりますが、国のガイドラインに、先進市の事例として3割程度の時間の削減効果が記載されております。
③証明書の交付
マイナンバーカードをお持ちの方については、すでにお近くのコンビニエンスストアにて交付できる状況となっている。
市民課の証明書では、住民票の等コンビニエンスストアでの交付が可能な5つの証明書の令和4年度交付数の約28%にあたる29,935枚がコンビニ交付という状況。なお、コンビニ以外で、来庁せずに証明書を交付する方法としましては、郵送にて申請いただき交付する方法もある。
引っ越しワンストップサービスを利用した場合でも、関係課ごとに同じ説明をし、氏名、住所などの情報を重複して記入する状況である。先進市では、ご自宅で事前入力を頂いた内容は二次元コードを読み取っていただく事で記入を省略する取り組みなどもあるが、改善ができない。
この点に関しましては、窓口連携という観点で課題の一つと捉え、今後の研究とさせていただく。
市民課窓口の混雑状況のお知らせサービスの周知について
小金井市には、市民課窓口の混雑状況のスマホでわかるお知らせサービスがあるが、有用なサービスであるため多くの市民に知ってもらう必要性があるが、公式LINEへの対応は。
市公式LINEとの連携の、必要性は認識しておりますので、関係課と調整の上、今後の検討とする。
順番が来たらメールが届くなどのプッシュ型の機能の拡充をしないか。
今後、市の受付窓口や案内などの将来について検討するなどの際に、参考にさせていただきたい。
先進市の取組を参考にして導入に向けて検討を始めないか
先進市の取組みを参考に更なる検討を進めないか。
DX推進全体方針に基づき、市民サービスの質の向上及び業務高効率化のため、今後も推進していく取組である。今後も市民の利便性の向上のため、関係課とも連携しながら「待たない・書かない・行かない窓口」の拡充に向け、引き続き検討していく。
また小金井市には、申請に来庁が原則必須となっている手続きは市民課以外には沢山残されている。是非、そのような見直しもして頂きたい。
合わせて、行かない窓口という意味では、申請手続きだけでなく、法律相談などの専門家による各種無料相談(広報秘書課)についても基本は来庁が必要ですが、電話やオンラインでの相談受付にも対応をしている自治体もあるそうですので、ご検討いただきたい。
今年2月から始まった「引っ越しワンストップ」についても、来年1月から始まる「おくやみ窓口」についても、どちらもウォークラリー方式に留まっている。先進自治体のように、ワンストップで手続きが完了できないことについての課題は。
今後も状況に応じて、必要な措置等については、検討していきたい。市民の利便性の向上及び業務の高効率化に向けて、引き続き関係各課とも連携しながら、自治体DXを推進していく。
市内の民間スポーツクラブと連携した介護予防の推進について
健康寿命を延ばし、お元気で暮らしていただくために、介護予防活動の更なる推進は欠かせない。
小金井市の取組について確認する
小金井市における介護予防体操の現状は。
小金井さくら体操の現状。
管理会場では、令和2年度には、延べ参加者数が、3,000人を切るところまで減少したが、令和3年度以降、徐々に参 加者数が回復し、令和4年度には、延べ4,500人を超えるまでに増えた。(コロナ禍以前の平成31年度の延べ参加者数6,000人弱)
地域の高齢者が自主的に立ち上げたグループ「通いの場」。
コロナ禍以前よりも増えており、中でも、体操を行う通いの場につき ましては、市が把握しているだけでも52グループある。
以上のことから、高齢者の活動ニーズの多様化が伺えるところであり、介護予防 に取り組むきっかけづくりとなる、更なる施策の展開も必要であると考える。
健幸チャレンジ事業への参加状況は
健康に関心を持ち、継続的に健康づくりに取り組むため仕掛けとして実施している「こがねい国保健幸チャレンジ事業」への参加状況は。
令和2年度から実施し今年で4年目となる。
今年度も新規参加者100人を募集したところ、約450人の応募があり参加者数も確実に伸び ている。
今後、健幸チャレンジ事業をすべての高齢者(国保加入者以外)へ拡大へしないか。
これからの高齢者の健康事業につきましては、保険年金課、健康課、介護福祉課が連携して取り組む必要があると考える。
しかしながら、来年度以降、各自治体で、「保健事業と介護予防の一体的実施」 が行われるところであり、本市においても、東京都後期高齢者医療広域連合とも協力の上、保険年金課を中心に、本市高齢者の健康課題について、3課で取り組む必要があると考えている。
令和4年度と5年度に市内スポーツ施設と連携しておこなった取り組みは
連携しておこなった取り組みについて伺う。
令和4年8月に本市と野村不動産ライフ&スポーツ株式会社が、包括連携協定 を締結した。その中で、令和4年度にはオンライン介護予防教室を、今年度は対面での「シ ニア運動教室」の開催協力のご提案を受け、試験的に実施している。
令和6年度に向けて「スポーツ施設と連携したシニアのための運動教室」を開催しないか
市として本格実施の年としてい頂きたい。
市内スポーツ施設との介護予防の取組みは、参加 者からの評価も高く、自己負担があっても参加したい、とのお声も頂いている。今年度の実績を踏まえ、今後の施策についても検討して参りたい。
また、これらの介護予防事業と健幸チャレンジのような各種ポイントの連動については、更に多くの方への動機付けともなりますので是非早期に実現いただきたいと要望する。
「計画策定の目的」(抜粋)
農業者の高齢化や担い手の不足、農地の減少など厳しい状況が続いています。 その一方で、平成27年4月に「都市農業振興基本法」が施行され、また、翌年5月には都市農業の振興と農地保全に関する国の基本的な考え方を示した「都市農業振興基本計画」が策定され、都市農地は、これまでの「宅地化すべきもの」から「都市にあるべきもの」として位置付けられるとともに、新鮮で安全な農産物の供給や環境保全、景観形成、農業体験の場、防災などの多面的な機能が評価されており、都市農業に対する市民の関心も高まっています。
本計画は、前計画の終了にあたり、こうした都市農業に関する期待や役割の変化などにも対応した新たな農業振興に関する将来像や施策などを定めるために策定するものです。