庁舎及び福祉会館建設等調査特別委員会行政視察報告(2019.08.06-08.07)

一日目

  • テーマ/場所: 「佐藤総合計画設計の新しい市役所」について
  • 場所:栃木県下野市
  • 期間:2019/08/06(1日)
  • 視察内容:

下野市(しもつけ)は、市域面積が74.59㎢、人口約6万人。小金井市の6倍の面積で半分の人口。自治医大もあり、市民一人あたりの医者の数が日本一の自治体で、「医食住」日本一(住みよさランキング県内1位)の市。2006年に3町が対等合併をしており、行政運営は選択と集中を徹底的に行いながら、合併債を活用した効率よい事業が図られています。

庁舎は、延床面積9,741㎡、構造は庁舎棟は免震構造。地上4階、建築工事費約45億円、施工は大成JVで地元業者が共同で受注し、外構についても多数の地元業者が担当されているのが特徴です。建設の4つのコンセプト。

  1. 利用が多い市民課、福祉関係課を1階に配し、利用しやすい庁舎
  2. 免震装置、非常用発電(72時間)を備え、災害時に市民がたよれる庁舎(マンホールトイレなど)
  3. 市民ロビーなどの活用により、交流の場として市民が集う庁舎(会議室は市民に有料で開放)
  4. 太陽光発電、地中熱利用空調や熱線反射ガラスなどにより、環境にやさしい庁舎(トイレは雨水を活用)

また、全体のバリアフリーを徹底していたり、デジタルサイネージを効果的に使う事で、ポスターを直接壁に貼らないなど工夫をされています。また、広い平置き駐車場に関しても、民間に運営委託をされているのも特徴です。何よりも、カウンターと執務スペースまでの空間。執務スペースの裏に通路、会議室などバックヤードが整備されている所が、ゆとりがありとても良かった。

  • 所感

カウンターと執務環境との境、バックヤードについては効率的な業務につながると考えるが、小金井で検討される東西に長い庁舎では、十分な幅が取れず難しそうです。とは言えカウンターに人が座っている際に、後ろを車いすが通れるかなどバリアフリーの観点での十分な確認が必要。ICTなどは限られた機能であってもしっかりとしたコンセプトに基づき配置、利用することが大切だと感じました。

私が、基本設計と実施設計で大きく工事費に変化があったのか、あったとすると、仕様を変更するなど、どのような調整を図られたのか質問をしました。回答としては、基本設計で要求を正確に伝えていたので、物価スライド等以外変更はあまり無かったとの事。市民の税金を預かる行政としては、至極当たり前の事かも知れませんが、小金井市のこの間の進め方と比べると、とても明確に進められており、素晴らしいと感じました。

小金井市は市域面積11.3㎢、人口約12万人 整備方針 税源計画等 公募型プロポーザルにおける技術提案書 2023年8月併用開始予定 基本設計業者:(株)佐藤総合計画

二日目

  • テーマ/場所: 「多機能複合化の新しい市役所」について
  • 場所:埼玉県北本市
  • 期間:2019/08/07(1日)
  • 視察内容:

北本市は、市域面積が19.82㎢、人口約6.7万人。小金井市の2倍弱の面積で半分の人口。トマトの生産で有名な自治体で、関東グリコなどの企業招致により経済活性化を図り財政を支えている。

庁舎は児童館との複合で、延床面積1,439㎡、構造は庁舎棟は耐震(一類)、合築の児童館は耐震(二類)。エコボイドを中心にした地上4階(居室は3階まで)、総工費36億円。コンセプトは「みどりに囲まれた 市民をむすぶ やさしい低層庁舎」を掲げている。災害時に、隣接の中学校(ヘリポート)、文化センター(物資集積場)と庁舎(ボランティア活動拠点)の一体での対策が計画されているもの特徴的です。デジタルサイネージなどは広告業者と連携をとられ、コストをかけずにサービス向上を工夫されている。

建築コストの抑制にも積極的に取組まれています。

  1. シンプルでコンパクトなデザイン
  2. 鉄骨造の採用
  3. 耐震構造(免震装置を用いない)
  4. 地下階をつくらない
  5. 低層建築
  6. 仮設庁舎をつくらない
  7. 既存什器の一部転用

更に、国交省の労務単価がアップする前に建設をするなど時期を重視した建設が進められていいます。その上で、内壁などあまり安普請にすると、清掃やメンテナンスにかえって費用が掛かること、空調のコスト、機器や植栽のメンテナンスコストなどについても、具体的な事例を挙げて注意点を伺う事ができました。合築されている、児童館については、ここではあまり触れませんが、理想とも言えるとても素晴らしい施設となっていました。突然、併設が決定したとのお話でしたが、小金井市においても当初併設が予定されていた、市民待望の図書館が無くなり、保健センターや子ども家庭支援センターが突如一緒になるなど、基本的な部分の大きな変更が相次いでいる事が思い返されます。

  • 所感 

各執務空間は各課の間仕切りがなく、課長も同じ長テーブルの中に座って作業をすることで、意思疎通が図れ、業務効率化につながっている点は、真似ができると考える。三連休での引っ越しで、システム移行に神経を使ったとのお話があった。データセンターへの事前の移行など、最小限のシステム移行になるよう十分な準備が必要だと考える。

私は、免震装置を採用しなかった事における議会などの対策について質問をいたしましたが、回答は、基本設計のプロポーザルの中でこのような提案があり、それを採用したので、特に問題はなかったとの事。小金井市では、現在、庁舎部分が免震、福祉会館部分が耐震というプロポーザル提案をした業者を採用しているが、ここへ来て福祉会館も免震が良いのではないかと市長の判断が大きくブレている。福祉会館を耐震で建てる事は、新耐震基準から見ても十分に安全が満たされていることは国の基準に沿って説明がされており他市の状況を見てもわかる。基準と費用対効果を考えない、市長の判断は、建築費用を増大させ、福祉会館の竣工時期を遅らせ、自らが採用決定したプロポーザル提案の根幹を覆す事にもなりかねない。市民の安心と税金をチェックする議会も、冷静な判断が必要となる。

番外(合同会派視察)

  • テーマ/場所: 「佐藤総合計画設計の新しい市役所」について
  • 場所:神奈川県平塚市
  • 期間:2019/07/24(1日)
  • 視察内容:

特別委員会の委員有志を中心とした8会派合同で視察。平塚市は、市域面積が67.83㎢、人口約25.8万人。と小金井市の6倍の面積で2倍の人口。

庁舎は税務署と一体となっており(話し合いの結果、税務署の委託を受け、税務署部分も市側が主導して進めた)、延床面積36,371㎡、構造は庁舎棟は免震、駐車場棟は耐震。地上8階地下2階、事業費142億円。サスティナブル建築による公園のような、グリーン庁舎。旧庁舎用地に建てたので二期工事で行っているところも特徴です。

  • 所感 

とにかく、シンプルな中にもゆったりとした広さがあり贅沢な造りとなっていました。議会図書室はオープンスペースで、議場は対面式で新鮮なイメージを覚えました。