一日目
- テーマ/場所:
「商店街活性化策について」 香川県高松市 高松丸亀町商店街振興組合 - 期間:2013/07/22 (1日)
- 視察内容:
高松市は、四国の北東部、香川県のほぼ中央に位置する。その中にある江戸時代から400年以上の歴史を持つ高松丸亀町商店街。ドーナツ化現象で拡散した街づくりが低迷を迎える中で再び中心部へ人を呼び戻そうと画期的な取り組みがなされています。
平成元年過ぎから検討が始まった再開発事業は、平成18年(計画12年、いる。特に特徴的なのは、「土地の所有と利用の分離」の考え方。合意形成4年。)に7つに分けた街区のうち、最初の街区の竣工を迎え、順次竣工して象で拡散した街づくりが低迷を迎える中で再び中心部へ人を呼び戻そうと画期的な取り組みがなされています。
- ①細分化された土地利用
- ②不合理な店舗配置
- ③老朽化した建物
- ④居住人口の減少
という問題点を、
- ①60年の定期借地により土地の所有と利用を分離(地権者の出資で作ったまちづくり会社がすべての商店の地権者と定期借地権契約を結んでその使用権を取得し、同社が建物を整備・所有する。)
- ②まちづくり会社が商業床を一体的にマネージメント
- ③地権者がリスクを負う変動地代(まちづくり会社が、テナントの家賃収入から銀行への返済、建物管理費用などを差し引いた金額を地代として地権者に支払う。)
という方法で解決した。成功の秘訣は、自分達の街を自分達で自らリスクを負い自治権をもって運営するという新しい自治組織の形成。
また郊外からのお客さんの為の町営の駐車場事業は様々な不採算事業(巡回バ
スやイベント等)の資金源としている。そして、最近ではビルの上にクリニックや賃貸住宅を備えコンパクトシティを構築している。今後は、生鮮市場、保育園、高齢者福祉施設、防災拠点、温泉施設等の都市機能を備えていく予定である。
- 所感
「地権者の全員同意で行われた再開発は、一般借地権という既得権をどう解決する
かという大きな土地問題との戦いであった。」と理事長は語られていました。そしてこの問題は、全国で現在起きている課題であります。全員同意の一つの手段は、「廃業支援」と配当割合の調整。そして信念を貫き、挑戦をし続けた中心となった方々の熱意であった。
また、通常課題となるテナントミック(業種の再編成)への対案も、この街づくりの特徴を現している。テナントミックスをまちづくり会社が担当することによりスムーズに行えるようにしたことで、街の活性化が高まった。このテナントミックスは本来の地権者自らの店舗であっても、同等の立場である。地権者も自らの商店を残すため「商売」を一生懸命行ってもらうための仕組みでもある。イベントなどはまちづくり会社が行うことで商業者に無駄な負担もかけない仕組みになっている。
あらゆるイベントなどに取り組んできた経験から、イベントの問題点は
- ①少人数でやっている
- ②売り上げに結びつくイベントの企画ができない
- ③お客のほしい商品がない
という事にきづき、イベントはやりたい市民が活躍できるステージをプロの社員(まちづくり会社)が振るサポートし、商店主はイベントへ来たお客さんを囲い込む商売の工夫に専念するという方法で大きく成果を生んでいる。
まちづくり会社は第三セクターでありながら町の出資額は5%である。これは議会の決定がまちづくりを遅らせることを回避するためであるというのも特徴であり、あくまでも地権者の方々が各々責任と熱を持ってまちづくりに取り組める仕組みを作られているのは、大変に勉強になった。
小金井においても、まちづくりの課題は消えることがない。手法も勿論のこと、根底の部分の確認も必要なのかもしれない。今後も、地域の方とまちづくりの課題解決に積極的に取り組んでいきたい。
二日目
- テーマ/場所:
「民間保育所について」 大阪府守口市 社会福祉法人 花修会 橋波保育園 - 期間:2013/07/23 (1日)
- 視察内容:
平成14年に守口市内の3つの保育所が民営化されその中で、本社会福祉法人が経営することになった。「まごころ かしこく たくましく」の実践を掲げて、自閉症や遅れのある子どもさんも可能性を潰さないという信念から、徹底した観察記録により成長を見守っている。子どもに良いとされる可能性のあることやプログラムは全部試してみて、取り入れるのが水原理事長の保育。食育の取り組みとしては、完全米飯給食を実施し、淡路の農家から完全無農薬米を使用し、月二回は山形県より有機米を取り寄せる徹底ぶり。手間を惜しんだら子ども達は育たないというのが理事長の保育の信念である。
- 所感
理事長の愛情と熱意に、多くの先生が応え全員が真剣に取り組んでいらっしゃった。先生方は全てを子ども達に向け、給料を削って食育などに力を入れていたり、普通では考えられない取り組みが随所に見えました。また徹底した観察記録は、発見された様々な事象を、病院や学校へ事細かに伝える事に役に立っている。一見すると厳しいようにも見える、カリキュラムも子ども達の可能性を潰さないとの思いから。当初は周りからのハレーションもあったそうですが、今では地域にも溶け込み、重要な位置づけとなっている。公立、民間それぞれに良さはある。民間はその上で、柔軟性がメリットの一つとなる。今後小金井の中で、民間の活力を利用するタイミングも必要になるが、しっかりとした理念をもった委託先に依頼ができるよう、十分に市の中で理念の積み上げ、委託者を見極めるノウハウを蓄積する必要があると感じた。
以上